心拍数トレーニングは、感覚ではなく数字で負荷を管理する方法だ。同じ「きつい」でも、体の中で起きている反応は違う。心拍数を見れば、今どの強度で動いているかが分かる。持久力を伸ばすゾーン2と、心肺を追い込むゾーン4。この2つを使い分けることが、HYROXのような長時間の競技で差を生む。
心拍ゾーンの基本
まず最大心拍数の目安を出す。簡易式は「220−年齢」。30歳なら190前後だ。正確さは個人差があるが、スタート地点としては使える。この最大値を基準に、強度を5つのゾーンに分ける。トレーニングで鍵になるのはゾーン2とゾーン4だ。
- ゾーン2:最大心拍の約60〜70%。会話ができる楽な強度。
- ゾーン4:最大心拍の約80〜90%。短い返答が精一杯のきつさ。
ゾーン2:土台をつくる
ゾーン2は有酸素能力の土台だ。脂肪をエネルギーに変える効率が上がり、長く動いても失速しにくい体になる。地味だが効く。ランやローイングを長めの時間、一定ペースで続ける。物足りないと感じるくらいがちょうどいい。ペースを上げたくなったら抑える。それがゾーン2の難しさだ。
週のトレーニングの大半は、この強度に置く。HYROXは合計8kmのランと8種目を切れ目なくこなす競技だ。土台がなければ後半で崩れる。
ゾーン4:上限を引き上げる
ゾーン4は心肺機能の天井を押し上げる。ここに入るのはインターバルが中心だ。短く強く動き、休んで、また動く。この繰り返しで、高強度に耐える力がつく。
HYROXの構成を思い出したい。①SkiErg 1000m ②Sled Push 50m ③Sled Pull 50m ④Burpee Broad Jump 80m ⑤Rowing 1000m ⑥Farmers Carry 200m ⑦Sandbag Lunges 100m ⑧Wall Balls 100回。SledやBurpeeは一気に心拍を跳ね上げる。その直後にまた1km走る。この急上昇と回復に慣れるには、ゾーン4の刺激が必要だ。ただし頻度は週1〜2回に抑える。追い込みすぎれば回復が追いつかない。
競技特性に沿った心拍の使い方はHYROXに向けた心拍数トレーニングでさらに掘り下げている。
使い分けの考え方
基本は「ゾーン2を多く、ゾーン4を少なく」。土台づくりに時間を割き、要所で天井を上げる。この配分が長期的な成長を支える。心拍計を使えば、自分が狙った強度に入れているか毎回確認できる。感覚のズレを数字が正す。
よくある質問
心拍計は必要ですか
あった方がいい。胸ベルト型は精度が高く、手首型は手軽だ。会話テストで代用もできるが、正確な管理には機器が役立つ。
ゾーン2だけでは不十分ですか
土台は作れるが、高強度への耐性は伸びにくい。HYROXのように強度が激しく変わる競技では、ゾーン4の刺激も要る。両方を組み合わせる。
毎日ゾーン4で追い込んでいいですか
勧めない。回復が間に合わず、パフォーマンスが落ちる。週1〜2回に留め、残りはゾーン2と休養に充てる。


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